これから結婚しようという女性は、おそらく彼の「今の年収」とか「今の社会的地位」がすごく気になるだろうと思います。
彼の年収がいくらであろうと、どんな会社に勤めていようと(あるいは無職であろうと)べつになんでもいい、愛があればそれでOKと考えている女性はすごく少ないでしょう。
ご両親が釣書(つりがき)を求めてくるケースもあると思います。どこの学校を卒業して、どこの会社にいつ入社して、いつ転職をしたか、資格はなにを持っているのか、というような過去のことを書くのが釣書です。
でも、言うまでもなく、結婚においてもっとも重要なことは、この相手と未来をともに切り拓いてゆくことができるかどうか、ということです。
済んだことは済んだこと。今は今。問題は未来のこと。
たとえ四畳半ひと間で……
20年以上も昔であれば、過去と今のことを見ておけば、なんとなく未来が予測できたものです。
**大学を出て、××という会社に勤めている旦那さんであれば、ま、未来の年収は35歳位で1,200万円くらいになるだろうから、うちの娘も安心ね……みたいに。
でも、だれもが知っているとおり、こういう世の中で、そういう理屈は通用しない。
だから、結婚するときに、この旦那さんと最悪、四畳半ひと間で暮らすことになっても、私はやっていけるだろうか、ということを考えたほうがいい。
つまり、未来が最悪になっても、彼とやっていけるかどうかを考えたほうがいい。そういう意味合いにおいて「結婚においては、過去はどうでもいい」と言える。
済んだことは、みな……
あるいは、じぶんの過去の経歴を残念に思っている女子もいると思います。
残念どころか、釣書を書いたら、なにやら空白の期間ができるケース。
たとえば、転職がうまくいかなくて、半年くらいキャバクラでバイトをしていたら、そのことを正直に釣書に書かない(書きたくない)女子だっているでしょう。
こういうケースだって「結婚においては、過去はどうでもいい」。
済んだことは、みな、忘れてくれます。キャバクラで出会ったお客さんやボーイさんは、あなたのことを忘れてくれます。
だから私たちは、純粋に未来だけを見て生きてゆくことができる。
このふたつの意味合いにおいて、結婚においては、過去はどうでもいい。このことは、彼の年収や社会的地位、ルックスなどを値踏みするのとおなじくらい真剣に考えておいて損はないことです。
純粋に見つめて、信じることができるか
……というようなことを、先日、既婚女子と話をしていて感じました。
結婚して10年経って、愛がなくなったというわけでもない。ただなんとなく、小さな問題がいくつも出てきて、さしたる希望もなく、なんとなく夫婦と子どもひとりで暮らしている。
こういう家庭はたくさんあります。問題は、「結婚においては、過去はどうでもいい」に戻ります。
なんとなくつまらない結婚10年目から、未来だけを見つめる。
これは勇気のいることです。
結婚10年目だと、一般的には30代後半から40代くらいでしょう。結婚当初に比べて体力も落ちているし、守るべきものも増えているから冒険ができない。純粋に未来を志向するといっても、守りながら冒険するしかない。
それでも、夫婦で力を合わせて、純粋に未来を見つめることができるか。
純粋に愛というものを信じることができるか。
結婚前に、「結婚においては、過去はどうでもいい」という、ふたりの共通認識があれば、どうにかなったりもします。
おわりに
もちろん、今は過去がつくり、未来は今がつくるわけですが、過去に執着しない純粋な心が切り拓いてくれるものって、人生において意外とたくさんあるのです。
(ひとみしょう/文筆家)
(婚カツ編集部)
Photo by LIN RU 哥 (改変 gatag.net)